会社にタイムカードがない場合の残業代請求の方法について静岡の弁護士が解説

2018年12月20日
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会社にタイムカードがない場合の残業代請求の方法について静岡の弁護士が解説

会社に対して未払いの残業代を請求したいのに、会社にはタイムカードがない……。

そもそもこれって違法じゃないの?とお悩みの方は少なくありません。

タイムカードがない場合の残業代請求の方法や、タイムカードがないことの違法性について解説いたします。

1、タイムカードがない…これって違法じゃないの?

労働時間を管理するのに多くの会社が利用しているのがタイムカードです。そのため、未払いの残業代を請求する場合には、多くのケースでタイムカードが重要な証拠となります。そして、タイムカードがない場合には、労働時間に関する重要な証拠がなく非常に苦しい戦いを強いられることになります。では、タイムカードがないとそれ自体が違法になるのでしょうか。

会社は、労働基準法により、労働者の労働時間を適切に管理する義務を負っています。そしてその実効性を確保するため厚生労働省が労働時間の管理方法についてガイドライン(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」)を制定しています。それによれば、始業・就業時刻の確認及び記録の原則的な方法は、使用者が自ら現認し、適切に記録するか、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することとされています。

したがって、労働時間の管理方法は、タイムカードに限りませんので、会社がタイムカード以外の客観的な記録を基礎として確認・記録している場合には、タイムカードがないからといってただちには違法にはなりません。

しかし、客観的な記録を基礎として始業・就業時刻を確認・記録していない場合には、違法となる可能性があります。

逆に、タイムカードがあっても実際の始業・就業時刻とは異なる時間を記録させるなどしていた場合には、適切に労働時間を管理しているといえないので、違法となる可能性があります。

2、タイムカードがなくても残業代請求はできる

タイムカードがなくても残業代請求は可能です。未払い残業代請求において、タイムカードが重視されるのは、労働時間の記録として客観的な資料であり、労働時間を証明するうえで重要な証拠となるためです。したがって、タイムカードがなくても労働時間を記録した客観的な資料があれば、残業代は請求できることになります。

3、タイムカードがない場合に証拠となるものは?

タイムカードがない場合に証拠となるものとしては、時刻の記載のある業務日報や電子メールの送受信時刻、パソコンの立ち上げ時刻などが挙げられます。

もちろん会社がタイムカード以外の労働時間の管理方法を取り入れていた場合には、その記録が一番有力な証拠となります。

また、最近では、労働時間を管理するアプリやGPSの位置情報なども証拠となり得ます。すなわち、未払い残業代を請求するそれぞれの日に会社で仕事をしていたことが分かる資料がれば、それらはすべて証拠となり得るのです。

4、タイムカード以外の証拠もない場合は?

自分の手もとに労働時間を記録した資料がない場合でもあきらめるのはまだ早いと言えます。使用者には労働関係に関する重要な書類を保管する義務があるため、会社に労働時間に関する記録の開示を求めましょう。実際、交渉で素直に開示するケースは多くはないですが、使用者に開示を求め、労働時間としては、手元にある資料だけで残業時間を推定計算して請求することになります。

5、まとめ

残業代請求と言えばタイムカードを一番に思い浮かべると思いますが、タイムカードがなくても残業代を請求することはできます。

自分の持っているどの資料が労働時間を立証する証拠として使えるかわからないという方は、是非一度、ベリーベスト法律事務所静岡オフィスにご相談ください。

お話をお伺いし、残業代を請求するためにどのような証拠があるか一緒に検討させていただきます。

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