会社に残業代請求する前に知っておくべき時効期間と時効を止める方法について
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残業代請求には、実は時効が存在します。
会社に対して残業代を請求したいと考えている方は、何年経っても請求できるわけではありませんので注意が必要です。
そこで、残業代請求の時効や時効を止める方法について弁護士が解説いたします。
1、残業代請求の時効は2年間
残業代は賃金の一つです。賃金それ自体の時効期間が2年と定められています(労働基準法115条)。このため、残業代請求の時効も2年となります。
2、時効が過ぎても残業代請求できるケースについて
もちろん、早く請求することがベストですが、時効が過ぎても残業代請求できるケースもあります。それは、残業代を不法行為として請求する方法です。不法行為に基づく損害賠償請求権の時効期間は3年ですので、2年を超え3年を経過していない時期についての残業代も請求できる場合があります。もっとも、すべての場合にこのような3年前までの残業代請求ができるとは限りません。不法行為と認められるだけの事情がある必要があります。
3、残業代請求の時効を中断させる方法について
残業代請求の時効を中断させる方法としては、現行民法153条(改正後民法150条1項)で定める「催告」をするという方法があります。催告とは、相手方に支払いを求めることです。催告をすることで、6ヶ月間は時効期間が中断することになります。中断の効力が生じている間は、時効期間が経過したことにならないという扱いになります。ただ、催告後、6ヶ月以内に労働審判申立て・訴訟提起・調停申立てなどの裁判上の手続をとらないと、中断の効力は消滅します。
催告のためには、勤務していた会社に対し、いつからいつまでの残業代を請求するのか明示する必要があります。このとき、金額まで特定している必要はないとされています。法律上書面で行うことまで要求されているわけではないですが、口頭では記録に残らないですので書面の方がいいでしょう。加えて、会社側に「そんな内容の書面は来ていない」などと言われても証明できるよう、内容証明郵便という方法で送付したほうがよいでしょう。
以上から、残業代の時効を中断する方法としてベストなのは、いつからいつまでの残業代を請求するという内容の書面を内容証明郵便で郵送するという方法です。
4、残業代請求を弁護士に依頼するメリットについて
残業代請求を弁護士に依頼するメリットとしては、(1)証拠資料が有効かどうかを法的に判断できること、(2)弁護士が依頼者の代理人として会社と交渉すること、(3)交渉で解決しない場合の法的手続きもサポートできることなどです。それぞれ簡単に説明いたします。
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(1)証拠資料が有効かどうかを法的に判断できること
今自分の手元にある証拠資料が有効かどうかは、法律や残業代請求について詳しくない方ですと、なかなか判断が付かないかもしれません。一方で、弁護士であれば証拠資料が有効かどうか判断できます。
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(2)弁護士が依頼者の代理人として会社と交渉すること
一般の方が企業との間で残業代について交渉することは、日常の業務や生活の中で行っていくことになるため時間や手間を取られる上、見込みが立たない中で不安を抱えることになります。また、何が重要な事実関係かもわかりにくいので、自分の中では関係あると思っていたことが、法的な請求のためにはそこまで重要ではないこともあり、そうすると、そういったことで時間・手間を掛けてしまったり、ストレスを抱えてしまうこともあります。
一方で、弁護士が相手方会社と交渉を行えば、その分日常の業務や生活に専念できますし、不安も抱えなくて済みます。また、重要な事実関係に絞っていくことができますので、時間や手間をかけずに済みます。
加えて、一方が弁護士を立てると、他方も立ててくる傾向が強いですので、その分理性的な話し合いになることが多いでしょう。 -
(3)交渉で解決しない場合の法的手続もサポートできること
当事者間の交渉で解決しない場合、弁護士が入ることで法的な手続について適切な進め方をすることができます。また、弁護士が入ったとしても交渉で解決しないケースもありますが、その場合には裁判上の手続を取る必要があります。弁護士に依頼していれば、スムーズに裁判上の手続に移ることができますが、依頼していない場合に一般の方が自分で訴訟提起をする場合には、訴訟提起それ自体やその後の進行の際に中々スムーズにいかないこともあります。このため、裁判上の手続を使う場合は、弁護士に依頼されて法がよろしいでしょう。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています