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不当解雇を言い渡されたら知っておくべき慰謝料請求について

2018年12月25日
  • 不当解雇・退職勧奨
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  • 静岡
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不当解雇を言い渡されたら知っておくべき慰謝料請求について

会社から何の理由もなく突然解雇を言い渡されたら、突然のことにショックと動揺でこれからどうしたらいいのかとお悩みになるかと思います。
もし、解雇が法律の解雇条件や就業規則などの条件を満たしていない場合、不当解雇に該当する可能性があります。
そこで、不当解雇の慰謝料請求について弁護士が解説いたします。

1、不当解雇とは

不当解雇とは、解雇することについて客観的に合理的な理由がない解雇、又は、解雇することが社会通念上相当でない解雇を指します(労働契約法16条参照)。

これだけだと漠然としていて分かりにくいですが、「客観的に合理的な理由がない解雇」とは、例えば上司に暴力をふるったという理由で解雇されたものの、実はそのような暴力をふるったという事実がなかったというものが典型例になります。一方で、「社会通念上相当でない解雇」とは、遅刻を1回しただけで解雇になった場合など、何らかの処分をすべき事情があるにせよ、その処分の内容を「解雇」にしなければいけないほど重大な事情ではないなど、処分理由と解雇という処分の重さが釣り合っていない場合が挙げられます。

2、不当解雇の種類

不当解雇にも種類があります。まず、解雇それ自体が3種類に分類でき、懲戒解雇・整理解雇・普通解雇です。そして、それらの解雇はいずれも前記の労働契約法などの法律や裁判例によって規制を受けており、それらの規制に反する解雇が、それぞれの解雇に対する不当解雇といえるでしょう。

  1. (1)懲戒解雇とは

    懲戒解雇とは、従業員の非違行為(よろしくない行為)を理由として、会社が規律秩序を維持するために制裁として行う解雇です。通常の企業では懲戒解雇となると退職金も全部または一部が支給されませんし、解雇予告手当も支払われないでしょう。さらには、懲戒解雇を受けたことは、再就職の重大な障害になってきます。

    懲戒解雇は、労働契約法15条や16条により規制を受けております。また、退職金も支給されないことが多いため、裁判所としてもかなり会社側に厳しく判断している例が多いです。
    懲戒解雇は、①会社が懲戒事由を定めていること、②懲戒事由に該当すること、③懲戒解雇とすることが社会通念上相当であることの3点が必要で、これらのうちどれか一つでも欠ければ、懲戒解雇における不当解雇となり解雇は無効になります。

  2. (2)整理解雇とは

    整理解雇とは、会社の経営が行き詰まってしまい、人件費を削減するために行う解雇です。また、会社の事業所や支店などの閉めるために、その事業所などにいる人員を解雇する場合もこれに含まれます。

    整理解雇については、裁判例上、①人員削減の必要性、②人員選定の合理性、③解雇回避努力、④手続の相当性(説明義務を尽くしたか否か)によって判断されます。これらのうちいずれも欠けてはいけないのか、それともどれかは欠けても別の点が十分であれば補完されるのかは、裁判例によって異なります。しかし、これらの点が十分でないとなれば、それは整理解雇についての不当解雇と言えるでしょう。整理解雇についての不当解雇となれば、解雇は無効になります。

  3. (3)普通解雇とは

    普通解雇とは、上記の(1)(2)のいずれにも当たらない解雇のことを指します。典型例としては、従業員の能力が会社の求める程度に達していなかった場合における解雇が挙げられます。普通解雇の場合、企業にもよりますが、退職金が支給されることが多いです。

    普通解雇は、前記の労働契約法15条により判断され、①客観的に合理的な理由がない、又は②社会通念上相当でないと判断されれば、普通解雇についての不当解雇と言えるでしょう。これも不当解雇となれば解雇は無効になります。

3、不当解雇に該当するケースについて

以上のように、それぞれの解雇につきそれぞれ不当解雇となる場合があるわけですが、今度はもう少し具体的にどのような場合が不当解雇になるのか見ていきましょう。

  1. (1)懲戒解雇についての不当解雇

    懲戒解雇についての不当解雇としては、例えば、行政機関などに内部告発を行った従業員に対し、会社内の企業秘密を守るという服務規律への違反を理由に懲戒解雇する例がわかりやすいでしょう。

    その他、意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、会社の業務とは無関係に行った犯罪行為を理由とする解雇についても、その犯罪行為による会社への影響が小さかった場合には、不当解雇となる場合もあります。かつて、ある会社の工場作業員が、飲酒した後、深夜、他人の居宅の風呂場から屋内に忍び込んだところ、家の人から問いただされたため、逃走しましたが間もなく私人に捕まって警察に引き渡され、住居侵入により罰金刑を受け、会社から懲戒解雇となった事案で、最高裁では懲戒解雇は無効と判断されています(最高裁昭和45年7月28日第三小法廷判決民集24巻7号1220頁)。ただ、こういった判断は、様々な事情により判断されますので、同種の罪を犯して懲戒解雇になったからといって、必ずしも同様に不当解雇として無効になるとは限りません。

  2. (2)整理解雇についての不当解雇

    整理解雇についての不当解雇としては、例えば、会社の収支が赤字ということを理由に、配転命令や早期退職募集といった措置を取ることなく、いきなり解雇をしてしまうといった例が挙げられます。これは、前述の解雇回避努力がなされていないことを理由として不当解雇になったものです。

  3. (3)普通解雇についての不当解雇

    普通解雇についての不当解雇としては、入社間もない社員に対し、達成困難なノルマ(「目標」と言いかえても同じです)を課し、そのノルマを達成できなかったことを理由に解雇するといったことが挙げられます。会社としては、達成困難なノルマを課すこともよくないですが、一定程度の業績を達成できるように指導していくべきであり、入社間もない社員であれば、そのような指導による成熟が十分な程度に至っていなかったため、達成できなかったとしても無理がないと言えるからです。このような場合は、客観的に合理的な理由のない解雇として不当解雇と言えるでしょう。

4、不当解雇の慰謝料請求について

  1. (1)不当解雇による慰謝料請求は可能か

    ここまでご覧になっていただいたのに恐縮ですが、不当解雇による慰謝料請求は、できなくはないですがそこまで高額なものにはなりにくいというのが実情です。理由としては、別で請求できる費目があり、それで精神的苦痛を和らげるのに十分だろうと言える場合が多いからというのが実際のところです。少し長くなりますが、どういうことか説明していきます。

    まず、不当解雇となると労働契約法15条や16条により、その解雇は「無効」になります。「無効」ということはその解雇が「なかったものとして扱う」ということになります。解雇がなかったことになると、まだその会社の「労働者」としての地位があったという扱いになります。「労働者」としての地位があるということは、会社に対して「賃金」を請求する権利があります。もちろん、解雇されてから不当解雇として無効になるまでの間はその会社で働いていないので、賃金請求できるのか疑問に思う方がいるかもしれませんが、その点は不当解雇した会社が悪いので、解雇された従業員は、その間の賃金を請求することができます(民法536条2項本文参照)。このように、不当解雇された場合には、その従業員は会社に対し、解雇されて以降の賃金を請求することができるのです。

    一方で、「慰謝料」というのは、精神的苦痛を和らげるためにその精神的損害を賠償するものです。多くの場合、不当解雇の主張とともに賃金請求が行われます。そして、不当解雇と裁判所などで判断された場合、解雇が無効となって、会社に対する賃金請求が認められます。不当解雇によって生じた損害の主なものは生活の糧を奪われたという経済的損害が大きいですので、賃金請求が認められたことにより不当解雇から生じた損害の大部分は補われたことになり、精神的苦痛も、賃金請求が認められたことで十分和らぐと考えられます。

    このため、不当解雇により賃金とは別に慰謝料も請求する場合には、賃金請求が認められただけでは補うことができない精神的な苦痛・損害が生じたということを主張立証する必要があります。例えば、不当解雇それ自体や解雇に至るまでの会社側の対応・パワハラ行為により、うつ病になってしまった場合には、そのような事情・経緯を主張立証していくことになります。

  2. (2)不当解雇による慰謝料の請求方法

    不当解雇による慰謝料の請求方法としては、交渉・労働審判・訴訟などといった方法があります。

    交渉は、裁判所を使わずに、会社に対して「慰謝料として●●●万円の支払いを求める」などと通知し、その後会社の代表者やその代理人との間で口頭又は書面で主張し合い、最後、合意に至れば、その合意した金額を解決金・和解金などといった名目で支払ってもらうというものです。

    反対に、訴訟は、裁判所に訴状を提出し、お互いに主張書面や証拠を出しあって、最後に必要であれば証人尋問や当事者尋問を行って、最後に裁判所の判決をもらう手続です。裁判所に、自分は会社が不当解雇をしたことで精神的苦痛を受けたので損害賠償請求する、という内容の訴状を提出していくことになります。

    労働審判は、交渉と訴訟の間をとった手続です。訴訟と同じように裁判所に書面を提出して手続が始まりますが、決め方としては、訴訟のように判決を得るために進めるというよりは、交渉のように相互に合意ができるよう労働審判委員会(裁判官を含めた3名で構成される労働審判での判断・仲介者)が話し合いを進めていきます。しかし、どうしても合意に至ることができなければ、最後に委員会で審判という形で、訴訟でいう判決のようは判断が下されます。

5、慰謝料以外に受け取れる金銭について

不当解雇を受けた場合に、慰謝料以外に受け取れる金銭としては、上記4-(1)で記載しましたように、賃金があります。不当解雇だと訴訟や労働審判で判断されれば、その会社で働けなかった期間分の賃金も受け取ることができる場合があります。また、交渉の場合でも、不当解雇であって解雇が無効であり賃金分として一定額支払えと請求し、交渉次第で会社側から一定額の支払いを受けることもあります。ただし、解雇されてから不当解雇と判断されるまでの間に再就職した場合、一定額減額される場合があります。

また、会社内の退職金規定や給与規定にもよりますが、退職金も請求できる場合もあります。

最後に、残業をしていたが残業代が十分に支払われていなかった場合には、給与規定の定め方や証拠がどれだけあるかにもよりますが、不当解雇という主張と合わせ、残業代も請求していった方がよいでしょう。そして、首尾よく残業についての主張立証ができれば、残業代も受け取れる場合があります。

6、まとめ

以上のように、解雇されてしまった場合、その解雇が不当解雇なのか、また種類としてどのような不当解雇なのか、また会社側に対してどのような事情を主に主張していかなければいけないのか、請求方法としてどのような方法が効果的か、何が請求できるのかといった多岐にわたる点を考えて判断していく必要があります。このような判断は、法律に詳しくない方にとっては難しいかもしれません。

そういった判断に困った場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。当事務所静岡オフィスでは、労働事件のご相談は多いですので、ご相談者様の方の状況に合わせたアドバイスをさせていただきます。相談料は、初回1時間無料で承りますので、お気軽にご相談にいらしてください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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