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建設業でスタッフを増やしたい! 雇用契約書の書き方と雇用時の注意点とは

2019年09月10日
  • 労働問題
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建設業でスタッフを増やしたい! 雇用契約書の書き方と雇用時の注意点とは

特定非営利活動法人・静岡県就労支援事業者機構の2018年の発表によれば、静岡県では罪を犯して出所した方を受け入れる協力雇用主が500社を超えました。そのうち、5割以上が建設業を占めているそうです。

建設業でスタッフを雇い入れるときには、一時的な雇用でも雇用契約書が必要です。しかし、雇用契約書をどう書いたらいいのか、悩む方も少なくないのではないでしょうか。今回は、建設業における雇用契約書の書き方や雇用時の注意点について解説します。

1、建設業で求人募集をするときに注意すべきポイント

建設業では、他の業界・職種と同様に求人募集時や採用時に注意すべきポイントがあります。まずはそれらのポイントについて見ていきましょう。

  1. (1)労働条件の明示

    応募者は、給与のほか日々の労働時間や休日、残業、各種手当の有無などの条件を見て応募してくるものです。それらの労働条件は、求人票や求人広告にきちんと明示するようにしましょう。また、併せて職場の雰囲気や仕事のやりがいなども記載するとより魅力的な職場に映るでしょう。

  2. (2)間接差別の禁止

    求人募集時には「20代・30代のみ募集」、「女性のみ募集」などのように、直接的な差別は禁止されています。また、性別以外の事由を要件とする措置であっても、合理的な理由なく他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与える条件を求人票や求人広告に記載することも、男女雇用機会均等法の観点から制限されています。たとえば、以下のような条件が該当します。

    • 身長が○cm以上であること
    • 全国への転勤が可能であること(※実際には全国転勤がない場合等)
    • 世帯主のみ住宅手当あり     など


    ただし、職務遂行の上でどうしても必要不可欠である場合など、合理的な理由のあるときには、間接差別にはあたらないとされています。たとえば、数十kgもある荷物を運ぶことが多い場合には、「体力に自信のある方」などの条件を付すことが認められています。

  3. (3)年齢制限を設ける場合

    高年齢者雇用安定法や職業安定法上、求人募集の際に年齢制限を設けることが原則として禁止されています。以前は60歳で定年退職することが一般的でしたが、最近では元気な高齢者が増えました。また、不況の影響で定年を過ぎても生活のために働かざるを得ない高齢者も少なくありません。そのため、応募時に65歳を下回っていることを条件にする場合は理由を明確に示すことが雇用主に義務付けられています。

  4. (4)派遣契約は原則禁止されている

    労働者派遣法上、原則として建設業への労働者派遣が禁止されています。禁止されている業務内容は、「土木、建築その他工作物の建設、(中略)破壊もしくは解体の作業またはこれらの準備の作業」と定められています。そのため、建設業であっても、たとえば経理業務や総務業務、受発注業務などの事務職や、工事の工程管理・品質管理などの監理業務については、労働者派遣は制限されていません。

2、建設業における雇用契約書の書き方

求人応募者を面接した結果、採用することになれば、雇用契約書を作成し、内定者に提示しなければなりません。記入例については弁護士や社会保険労務士などに相談すれば示してもらえるでしょう。

  1. (1)雇用契約書が必要な理由

    雇用契約は、口頭で「勤務時間は1日○時間、時給は○円でお願いします」と伝えるだけでも成立します。しかし、実際に働き始めてから「言った・言わない」のトラブルが発生することも考えられます。

    そのため、スタッフを雇用する際には、どんなに短期の雇用でも、また試用期間中であっても、労働基準法の規定に沿った労働条件を明記した上で雇用契約書又は労働条件通知書を発行するようにしましょう。

  2. (2)雇用契約書又は労働条件通知書に必ず書くべきこと(絶対的記載事項)

    雇用契約書又は労働条件通知書に記載する事項には、必ず書かなければならない「絶対的記載事項」と、絶対ではないが就業規則などで定めがある場合には書くべきとされている「相対的記載事項」の2種類があります。

    絶対的記載事項は以下の通りです。

    • 労働契約期間(期間の定めのある場合は勤務開始日と終了日、更新の有無も)
    • 就業場所
    • 業務内容
    • 始業と終業の時刻
    • 休憩時間
    • 休日、休暇
    • 交替制
    • 賃金の計算、支払い方法、締切日・支払日、昇給
    • 退職(定年の有無、自己都合退職の手続き、解雇事由など)
  3. (3)定めがある場合に雇用契約書に書くべきこと(相対的記載事項)

    相対的記載事項としてあげられるのは、以下のような内容です。

    • 退職金に関すること(支払い対象となる従業員の範囲、計算方法、支払日など)
    • 臨時に支払われる賃金、賞与、最低賃金のこと
    • 安全及び衛生に関すること
    • 労働者が負担すべき費用のこと
    • 表彰や制裁に関すること
    • 休職に関すること     など

3、建設業では一人親方と請負契約を結ぶ方法も

建設業では、繁忙期に臨時でスタッフを増員したいときには、個人事業主として建設業に従事する一人親方と請負契約を結んで働いてもらう方法もあります。では請負契約のポイントについて見ていきましょう。

  1. (1)請負契約とは

    請負契約とは、相手方に労務を提供してもらい、仕事を完成させることを目的として締結する契約のことを指します。「工事請負契約」「業務請負契約」などの名称で作成されることもあります。

  2. (2)請負契約と判断されるには

    契約書の名称が「請負契約」となっていても、実質的に雇用と変わらなければ雇用契約とみなされる可能性があります。請負契約と認めてもらうには以下の2つの条件にあてはまることが必要です。

    ①労務管理の独立性
    一人親方が、請負先で勤務時間や休日などの労務管理を一切受けずに働けることが求められます。また、請負先の経営者や従業員から具体的な作業指示を受けることもありません。

    ②事業経営上の独立性
    また、一人親方は労働力を提供するだけでなく、自分で資金や機材、設備などを調達し、法律上の事業主としての責任を果たすことが求められています。

  3. (3)ただし一括請負は禁止

    外部から一人親方を請負として迎え入れることは問題ないものの、自社が客先から請け負った仕事をすべて請負人に下請させることは原則として禁止されています(丸投げの禁止)。ただ、発注者があらかじめ書面で承諾した場合は、一括下請けが例外的に認められています。

4、建設業における技術者制度とは

建設業特有の制度として、「技術者制度」と呼ばれる制度があります。これは、建設業界が社会資本の整備という重要な役割を担う性質から、施工不良を排除し、適正な建設工事・施工を確保することを目的として、工事現場に資格や経験を有する技術者を置くものです。

  1. (1)専任技術者

    建設業法上、建設業を営むすべての営業所に、一定の資格や経験を有する者を設置することが義務付けられています。これを「専任技術者」と言います。専任技術者に求められる資格や経験は、建設業許可が必要な29の業種や許可の種類(一般建設業の許可もしくは特定建設業の許可)により異なります。

  2. (2)主任技術者

    また、建設業法では元請・下請、請負金額の多寡にかかわらず、すべての工事現場に一定の資格と実務経験を持つ者を配置しなければならないことになっています。これを「主任技術者」と言います。ただし、2か所の工事現場が同じ場所もしくは密接した場所にあるときは、同じ主任技術者がこの2つの工事現場の管理が可能です。

  3. (3)監理技術者

    発注者から直接工事を請け負った特定建設業者が、請負代金の総額が4000万円以上となる場合、主任技術者より上位の資格や経験を有する技術者を置かなければならないと建設業法で定められています。これを「監理技術者」といいます。専任の監理技術者となれば、資格者証の交付を受けて過去5年以内に監理技術者講習を修了していることも求められます。

  4. (4)技術者制度の特例とは

    主任技術者や監理技術者をまとめて「監理技術者等」といいます。国土交通省のマニュアルでは、適切な施工を確保すべく、監理技術者等は建設会社と「直接的かつ恒常的な雇用関係」であることが求められています。

    「直接的な雇用関係」とは、雇用に関して雇用主と技術者との間に第三者が介入しない関係のことを指します。そのため、派遣社員等はこれに該当しません。また、「恒常的な雇用関係」とは、一定の期間建設会社に勤務し、一定以上業務に従事する関係のことを指します。そのため、短期雇用やパートタイマーの場合はこれにあたらないことになります。

5、建設業で労働者を迎え入れるときの注意点

繁忙期などに建設業で労働者を迎え入れる際には、いくつか注意点があります。どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

  1. (1)雇用管理責任者を置く

    建設業を営む事業者は、労働者を雇用する際に労務面を管理するための雇用管理責任者を置くことが義務付けられています。雇用管理責任者に必要な資格や経験は特にないため、経営者や人事部・総務部の責任者の責任者など、だれでもなることができます。雇用管理責任者は、雇用管理研修の受講が求められていますが、受講しない・させないことに対する罰則規定は特にありません。

  2. (2)雇用の場合:労働保険や社会保険に加入する

    労働者を社員などとして雇用する際は、原則として労働保険や社会保険への加入手続きが必要です。従業員が4人に満たない事業所の場合は、健康保険や厚生年金保険への加入義務はありませんが、労働者個人で国民健康保険や国民年金への加入を促すほうがよいでしょう。

  3. (3)請負の場合:一人親方には労災保険に特別加入してもらう

    一人親方などと請負契約を結ぶ場合は、発注者にはその一人親方の労働保険などへ加入する義務はありません。しかし、一人親方の場合は、労働災害保険に特別加入という形で加入することができます。建設工事現場はほとんどの場合ケガと隣り合わせのため、業務開始前に労働災害保険に特別加入してもらうようにすべきでしょう。

  4. (4)偽装請負になっていないかどうか

    一人親方などと請負契約の形で仕事をしてもらっていても、発注者から直接指揮命令を受けて業務を行っていたり、労働時間・休日の管理を受けているようであれば、偽装請負とみなされます。偽装請負が発覚すれば、発注者が業務改善命令などの行政処分を受けたり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられたりする可能性がありますので、十分に注意が必要です。

  5. (5)出稼ぎ労働者や外国人労働者を雇用するときは

    出稼ぎ労働者が外国人労働者を雇用する際は、きちんと身元を明らかにしてもらった上で雇用契約書などの書面をきちんと交わして雇用することが重要です。特に外国人の場合は、あらかじめ定められた滞在期間や在留資格を超えて滞在していると不法就労となる可能性があるため、雇用時に在留カードなどで在留資格・期間などを確認することが必要です。

6、まとめ

建設業界は社会資本整備の重要な担い手であるにもかかわらず、人材不足の危機にあります。建設業界を志願して求人に応募してくれた方に長く働いてもらうためにも、雇用時にきちんと雇用契約書を交わすことがまず大切です。

ベリーベスト法律事務所・静岡オフィスでは、労務問題の経験が豊富な弁護士が建設業における雇用契約書の書き方についてご相談を承っております。ベリーベストグループには社労士法人も抱えておりますので、社労士と連携して対応することも可能です。雇用契約書の書き方のことでお困りの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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