露出で逮捕された場合に問われる罪と逮捕後の流れを弁護士が解説
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不特定多数の目に触れる公共の場所で露出をはじめとしたわいせつな行為をした場合には、逮捕されて罪に問われるということはご存じのことでしょう。静岡市内でも露出事件は頻繁に起こっています。
露出行為は、性行為や性器の露出だけでなく下着などの露出も含まれています。もし露出で逮捕された場合は、どのような罪に問われるのかまではあまり知られていないかもしれません。逮捕された後の流れも含め、弁護士が解説します。
1、露出はどのような罪に該当する?
公共の場で露出をした場合、実際に露出した部位や状況によって問われる罪が異なる可能性があります。それぞれどのような罪に問われることがあるのかについて、知っておきましょう。
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(1)迷惑防止条例違反
迷惑防止条例とは、公衆に迷惑をかける行為を防止することを目的に、都道府県ごとに設置された条例の総称です。静岡県における迷惑防止条例の名称は「静岡県迷惑行為等防止条例」となります。本条例で禁止されている一般的な行為としては、痴漢行為や盗撮、客引き、スカウト行為、のぞき行為などが挙げられます。
露出行為については、静岡県の迷惑防止条例第3条第1項(5)で禁止されている「公共の場所又は公共の乗物にいる人に対して、卑わいな言動をすること」に該当する可能性があります。もし有罪となった場合には、「6ヶ月以下の懲役」または「50万円以下の罰金」に処されることになります。 -
(2)軽犯罪法
軽犯罪法では、騒音や虚偽申告、のぞき、器物破損など多岐にわたる軽微な犯罪を処罰するための法律です。
露出の処罰対象に関しては、軽犯罪法第1条20号で、「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者」と、規定されています。
つまり、不特定多数が目に触れるような場所でお尻など肌を露出した場合、軽犯罪法違反として検挙される可能性があるということです。
なお、露出行為によって軽犯罪法違反として有罪となったときは、1日以上30日未満の期間身柄を拘束される「拘留(こうりゅう)」または1000円以上1万円未満の金銭を支払う「科料(かりょう)」の刑罰が科されることになります。 -
(3)公然わいせつ罪
不特定多数の目に付くような場所で性的と判断される行為を行ったときには、公然わいせつ罪が成立する可能性があります。
一般的には、性器を露出した時点で適応されると考えてよいでしょう。さらに、最近ではわいせつな行為をリアルタイム配信したケースでも公然わいせつ罪に問われています。
有罪となったときは刑法174条によって「6ヶ月以下の懲役」もしくは「30万円以下の罰金」、または「拘留」もしくは「科料」のいずれかに処されることになります。
2、露出で逮捕されてしまったらどうなる?
「逮捕」とは、身柄を拘束して捜査するという、刑事訴訟法で適用条件が定められた処分のひとつです。つまり、「罪を犯したことの合理的な裏付けがある」、「逃亡や証拠隠滅の危険がある」など、特定の条件が満たされていないときは「逮捕」することはできません。
露出に限らず、逮捕されたときは、刑事訴訟法で定められている流れに沿って捜査が行われることになります。
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(1)逮捕から起訴までの流れ
露出容疑で逮捕されると、「被疑者」として警察署で取調べを受けることになります。警察は、逮捕から48時間以内に、検察へ事件や被疑者の身柄を送致するかどうかを判断します。
罪を犯した疑いがはれず送致が必要と判断すれば検察へ送致されますが、事件だけが送致される「在宅事件扱い」となることもあります。ニュースなどでは、書類送検と呼ばれるものです。在宅事件扱いとなれば、身柄はその場で解放されます。
被疑者の身柄も検察に送致されたときは、さらに24時間の捜査が行われ、検察は在宅事件扱いとするか、引き続き身柄を拘束して捜査を行う「勾留(こうりゅう)」が必要かどうかを判断します。勾留が必要なときは裁判所で許可を得る必要があります。裁判所に勾留が認められると、原則10日間、最長20日間も引き続き身柄を拘束され続けることになります。身柄の拘束を受けている最中は、仕事や学校へ行くことができません。
検察は、勾留中であれば拘留期限が終わるまでに、在宅事件扱いのときは捜査が終わったタイミングで、被疑者を起訴するか不起訴とするかを判断します。起訴のときは、刑事裁判において嫌疑について判断されます。不起訴となれば、自宅へ帰ることができます。
起訴されてしまうと、99%が有罪となります。さらに、起訴の中でも「公判請求」となったときは多くのケースで、保釈が認められるか判決が出るまで、引き続き留置所または拘置所で過ごすこととなります。 -
(2)在宅事件扱いとは
在宅事件扱いとは、身柄の拘束は解かれた状態で捜査が継続する事件を指します。被疑者は無罪放免となったわけではありません。それでも、自宅へ帰ることも仕事へ行くことも可能な状態になるため、日常生活への影響は最小限に抑えることができるメリットがあります。
ただし、あくまでも捜査中です。警察や検察の呼び出しに応じて、任意で事情聴取を受ける必要があります。
身元を保証する人物がいる、逃亡の危険がない、深く反省しているなど、必ずしも身柄拘束が必要ではないと思えるケースでは、在宅事件扱いとなる傾向があります。
3、逮捕を弁護士へ相談した場合の対処方法
露出で逮捕されたときや、逮捕される懸念があるときは、弁護士へ相談することをおすすめします。
無実の罪を着せられそうというときだけでなく、罪を認める場合にも、弁護士に対応を依頼することによって、将来に影響を残す可能性を最小限に抑えることができるでしょう。
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(1)被疑者が罪を認める場合
もし露出を認める場合には、まずは長期間の身柄拘束を避けることを目指すことになります。特に、勾留が決まってしまうと、起訴か不起訴かが決まるまでだけでも最大23日間も仕事や学校を休まなければならなくなるため、社会復帰に悪い影響が出てしまうためです。その後、起訴の回避を目指し、最終的には減刑を目指すことになります。
弁護士は、家族との面会が制限される逮捕から勾留が決まるまでの最長72時間の間でも、自由な接見が行えます。接見を通じ、事件の状況を知るとともに、露出した罪を反省することを促し、自分のした行為の重大さを自覚してもらうことができます。
もし、常習となっているときは、同じ過ちを繰り返さないよう性依存症の自助グループや、精神科医などの専門家を紹介します。また、現場に近づかないことを促して更生するためのサポートも行います。深い反省を、言葉だけでなく形として示すなど、起訴・不起訴の判断を行う検察へ働きかけることになります。 -
(2)無罪を主張する場合
露出をした覚えがないにもかかわらず逮捕されてしまったときは、無罪であると信じてもらうため、弁護士のサポートが必要不可欠といえます。
映像など、明確な露出行為の証拠がない場合、現場にいた人間の供述が証拠となります。捜査機関はさまざまな手段で自白させようとしてくるでしょう。たとえ無実の罪であっても「虚偽の自白」をしてしまった場合、後から裁判で無実を主張しても信用性が疑われてしまい非常に不利になります。弁護士は、捜査機関のプレッシャーに依頼人が負けてしまわないよう、頻繁に接見を行ってバックアップしていきます。
最終的には、「露出をしていた」との目撃者の供述の信用性が重要な争点となります。弁護士に依頼することによって、供述の不可解な部分などを指摘したり、人違いの可能性等を指摘したりと、供述内容の信用性を効果的に争うことができます。
4、まとめ
もしも、あなた自身や家族が露出行為をしてしまったという心配があるときは、まずは弁護士へ相談してください。
露出行為によって何らかの罪に問われるのでは、とお悩みの方は、ぜひベリーベスト法律事務所 静岡オフィスへ問い合わせてください。刑事事件の対応経験が豊富な弁護士が、状況に適したアドバイスを行います。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています