オレオレ詐欺で未成年の息子が逮捕! 弁護士による早期解決の方法とは

2019年12月10日
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オレオレ詐欺で未成年の息子が逮捕! 弁護士による早期解決の方法とは

平成30年12月、静岡市駿河区に住む80代の女性が、息子を名乗る男性から3000万円もの大金をだまし取られる事件が発生しました。オレオレ詐欺は何年も前から全国的に知られており、警察や各金融機関も警戒を強めていますが、いまだに収束が見られません。このオレオレ詐欺の事件には未成年が加害者の一端を担っていることも少なくありませんが、未成年者がオレオレ詐欺で逮捕された場合、どのように早期解決すればよいのでしょうか。

1、オレオレ詐欺における役割分担とは

オレオレ詐欺は組織的な犯行であることが多く、中には暴力団員が主犯格になっているケースも少なくありません。しかし、実際に犯罪行為を担当させられるのは大学生などの若者のことが多く、未成年者も巻き込まれることが少なくないのが問題になっています。

  1. (1)かけ子

    「かけ子」とは、被害者宅に電話をかけて、被害者をだます役割のことを言います。かけ子は犯行の中心人物であり、主犯格である詐欺グループのトップと密接に関わっていることも少なくありません。直接詐欺行為を働いていることから、量刑が重くなるケースが多いと言えます。

  2. (2)受け子

    「受け子」とは、被害者のもとへ行って現金を受け取る役割を果たす役割のことを指します。オレオレ詐欺だと気づいた被害者が事前に警察に通報し、受け子が現金を受け取りに来たところで逮捕され、未遂に終わることもありますが、未遂に終わったとしても、法律上未遂は減刑事由にしかならず、犯罪に加担したとして刑罰を受ける可能性があります。

  3. (3)出し子

    「出し子」とは、被害者から振り込まれたお金を銀行のATMから引き出す役割のことを指します。出し子も受け子と同様に、詐欺グループの主犯格と関係性が薄いことが多く、詐欺行為に加担することになる事実を知らされないまま犯行に及ぶケースが少なくないと言えます。

  4. (4)それ以外の役割

    オレオレ詐欺では、かけ子・受け子・出し子以外にも、直接詐欺の実行行為自体は行っていないものの犯行に手を貸す人物がいます。たとえば、電話をかけるときに使用する名簿を準備する役、見張り役、プリペイド式の携帯電話をレンタルしてかけ子に渡す役などがあげられます。これらの役目を担った人物も、詐欺罪をほう助したとして警察に逮捕され、刑罰を受ける可能性があると言えるでしょう。

2、オレオレ詐欺で逮捕されたらどうなる?

オレオレ詐欺は、組織的な犯罪であるケースが多いこと、高齢者など社会的弱者に被害が多いこと、認知件数が増大していることなどから、年々厳罰化する傾向にあります。そのため、組織の末端にいる人物でも、逮捕・起訴され、刑罰を受けることも多くあります。

  1. (1)「詐欺とは知らなかった」という主張は通用しない

    受け子や出し子など、直接被害者と接触しない場合、自分が詐欺行為に加担していることを明確に認識していないケースも珍しくありません。そのため、逮捕されてから「詐欺とは知らなかった」と主張する被疑者も数多くいます。しかし、法律上は、明確な認識がなくても、認識が可能な状況において、自分のしていることは犯罪に関わっているかもしれないと意識しながら敢えて実行すれば、未必の故意が認められるのが通常です。オレオレ詐欺の場合は全国的に社会問題となっており、単純かつ簡単な行為をするだけで通常のアルバイトよりも高額な報酬がもらえるなどの状況があるため、違法性を意識できなかったという主張はまず信用されず、「自分のしていることが詐欺行為だとは思わなかった」というような言い訳は通用しないのが一般的です。

  2. (2)接見禁止がつくことがある

    オレオレ詐欺の場合は、被疑者が逮捕されたことを詐欺グループが把握すると、共謀して証拠を隠滅する可能性があることから、罪証隠滅のおそれがあるという理由で接見禁止がつくことも少なくありません。接見禁止になると、逮捕後72時間を過ぎても弁護士以外誰も被疑者に会うことができなくなります。もちろん、家族であっても本人に会えません。

  3. (3)勾留延長となるケースも少なくない

    先述の通り、オレオレ詐欺は組織ぐるみの犯行であることがほとんどなため、検察庁に送致(送検)された後は10日間の勾留請求がされる可能性が高くなります。しかし、10日間では捜査が終わらず、さらに最大で10日間勾留期間が延長されるケースも多く見受けられます。したがって、最大で20日間(逮捕時から通算すると23日間)もの間、身柄を拘束される可能性も高いと言えるでしょう。

3、少年事件で逮捕された時の流れ

成年事件と少年事件では、逮捕された後の手続きの流れが一部異なります。成年事件では刑罰などの社会的制裁を与えることが目的とされるのに対し、少年事件では社会的な更生を図ることを目的としているという違いがあるからです。

  1. (1)警察署での取り調べ・検察庁へ送致

    少年事件でも、成年事件と同様に警察署で48時間以内に取り調べを受け、検察庁へ送致されます。ただし、場合によっては逮捕されずに、在宅のまま警察に数回呼ばれて取り調べを受けるケースもあります。その場合も検察庁へ事件が送致されますが、警察署で取り調べが十分になされている場合は改めて逮捕されることはないケースが多いと言えます。また、逮捕後すぐに家庭裁判所に送致され、そのまま少年鑑別所に身柄を移す鑑別処分がなされることもあります。

  2. (2)勾留もしくは家庭裁判所へ送致

    検察庁では、被疑者の身柄を最大10日間勾留するか、家庭裁判所へ送致するかを24時間以内に決定します。勾留決定した場合、勾留請求を受けて裁判所が勾留の決定をした日から10日後に、さらに最大10日間以内の期間、勾留期間を延長する必要があると検察官が考えて延長請求をすれば、延長される場合もあります。また、いったん家庭裁判所へ送致されても、手続き期間中に少年が20歳以上の年齢に達したときは、再び検察庁へ事件が送られ(逆送と言います)。成年と同じ刑事手続きに従った裁判を受けることになります。

  3. (3)家庭裁判所で観護措置の審判

    家庭裁判所が、事件に関する資料を参考にした上で、被疑者を少年鑑別所に収容するかどうかの決定をします。審判が下ると、原則として最大4週間少年鑑別所で過ごすことになります。

  4. (4)鑑別所へ収容されなかった場合:家庭裁判所調査官による調査

    家庭裁判所調査官が、事件や家庭環境について調査をします。少年や保護者と面談したり、心理テストを行ったります。また、学校にふだんの少年の様子について照会することもあります。調査官は、調査を通じてどのような処分を下すのがよいかを考えて意見書を作成し、裁判官に提出します。

  5. (5)鑑別所へ収容された場合:審判

    鑑別所に収容された場合は、約4週間後に審判が開かれます。そこでは、裁判官が少年に事件の経緯や事件後に思ったこと・考えたことなどを聴いていきます。また、保護者にも普段の様子や加害少年の問題行動などについても質問します。その後、審判を開始するか否かの決定がなされ、審判開始という決定が下された場合は、青年の場合の裁判に対応する審判手続きにおいて審理がなされます。そして、審判を担当した家庭裁判所の裁判官によって最終的に処分が下され、罪状、家庭環境、反省状況などに応じて、施設に収容して更生させる必要があると判断されれば、少年に対し教育指導を行う少年院や懲役や禁固刑になった人が入る少年刑務所、保護観察処分を受けた少年や執行猶予中の成人が入る保護観察所などに送られます。一方、事案が比較的軽微だったり、本人の反省が十分で周囲の監督協力体制が整っていると認められれば、社会内での更生が相当ということで、保護観察処分に付されたり、最も軽い処分としては、不処分という処分がなされる場合もあります。

4、少年事件で私選弁護人を付けたほうがいい理由

少年事件でも、成年事件と同じように刑事手続きを踏むときには弁護人(弁護士)をつけることができます。刑事弁護を担当する弁護士には、国選弁護人と私選弁護人の2種類がありますが、できれば私選弁護人を付けたほうがいいと言われています。それはなぜでしょうか。

  1. (1)国選弁護人と私選弁護人の違いとは

    起訴前の国選弁護人とは、検察庁で勾留決定がなされたとき(少年事件では家庭裁判所に事件が送致されたとき)以降に、本人の希望により裁判所が選任する形でついてもらえる弁護士のことを指します。国選弁護人は文字通り国が選任するものなので、被疑者にはどの弁護人に依頼するかの選択の余地がありません。一方、私選弁護人とは被疑者本人やその家族が選んで依頼をする弁護士のことを指します。国選弁護人は原則として弁護士費用はかからないというメリットはありますが、私選弁護人のほうがそれを上回る数々のメリットがあります。

  2. (2)勾留を阻止できる可能性がある

    国選弁護人は、勾留決定後につくことになっています。そのため、国選弁護人には捜査段階で被疑者をサポートしたり、勾留を阻止したりすることは期待できません。一方、私選弁護人であれば逮捕時あるいは逮捕前から弁護活動をスタートできるため、勾留を阻止して早期釈放できる可能性があります。

  3. (3)加害少年やその家族へきめ細かなサポートができる

    国選弁護人は勾留決定後にしかついてもらえないため、捜査機関で取り調べを受けている間、少年は自力で受け答えをしなければなりません。私選弁護人がついていれば、逮捕直後から加害少年のサポートに入り、受け答えの仕方をアドバイスしたり、審判のときには付添人として言葉足らずの部分をフォローすることもできます。また、接見禁止がついているときでも、ご家族に本人の様子を伝え、ご家族とともに示談交渉に臨むなど、精神的なサポートをすることも可能です。

  4. (4)少年院への送致も避けられる可能性がある

    オレオレ詐欺は、被害額が大きく、情につけこんで弱者を食い物にする点や社会的影響の大きさなどの点から、悪質であるとされています。また、組織的犯行であるため、組織内での位置や犯行への関与の程度が問題になり、その結果、適切な弁明に失敗すると少年院へ送致されてしまうケースもあります。しかし、少年が詐欺グループとの関係を絶っていること、家庭環境の改善が見られることなどを私選弁護人ないし私選付添人が丁寧に捜査機関や家庭裁判所に説明をすることで、少年院への送致などの最悪の処分を免れられる可能性は高くなると言えます。

5、オレオレ詐欺事件を早期解決する方法

ご自分の未成年の子どもがオレオレ詐欺で逮捕されてしまったら、家族のみなさまは気が動転されると思います。しかし、早期解決を図るためには、早期に弁護活動を開始することがカギとなりますので、できる限り早いタイミングで信頼できる弁護士に相談されることをおすすめします。

  1. (1)逮捕後ただちに弁護士に相談する

    未成年の子どもがオレオレ詐欺で逮捕されてしまったら、あるいは逮捕されそうになったら、できるだけ早いタイミングで少年事件の取り扱い経験が弁護士に相談するようにしましょう。弁護士に依頼をすれば、事件を起こした少年やそのご家族の想いをしっかり受け止めて、取り調べ時のアドバイスや示談交渉を行うなど、きめ細かなサポートをしてもらえます。

  2. (2)積極的に加担していなかったことを主張する

    少年は組織の末端として働かされているだけに過ぎず、少年側も単に「割のいいアルバイト」として深く考えずに罪を犯してしまったケースが多く見受けられます。そのため、弁護士は、加害少年がオレオレ詐欺に手を貸してしまった事実に間違いはないものの、積極的に加担したわけではないことを主張し、できる限り早く家に帰れるよう尽力します。

  3. (3)示談交渉をする

    逮捕後、一刻も早く被害者のもとへ出向いて誠心誠意謝罪をすることで、示談交渉を成立させられる可能性が高まります。示談交渉ができていれば、検察庁や家庭裁判所に送致されるのを防止したり、長期の勾留を阻止したりできるため、早期解決につながりますし、仮に審判を受けることになったとしても、示談の事実が評価されて在宅での保護観察や不処分などの軽い処分ですむ可能性が高くなります。

6、まとめ

オレオレ詐欺では、アルバイト感覚で高校生や大学生などの未成年が組織の末端として働かされ、加害者となって逮捕されてしまうケースが少なくありません。もし、オレオレ詐欺で未成年の子どもが逮捕されてしまったときには、ベリーベスト法律事務所 静岡オフィスまでご相談ください。少年事件の経験豊富な弁護士が、加害少年やご家族に寄り添い、一日も早く帰宅できるように尽力いたします。どうぞお気軽にご相談ください。

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